連日の様に、「異常気象」とか「観測史上初」等と天候に関するニュースが目立っておりますが、本当に「異常」なのでしょうか?
気象観測が開始されたのは1872年(明治5年)です。今から152年前の事ですが、このころは今よりも遥かに涼しかったようですが、「あくまでも観測開始してからの比較で、異常と言われているのでは?」と仮説を立てて検証を致しました。
1783年(天明3年)にも全国的に暖冬が記録されており、豪雪地帯でも雪が降らなったそうです。しかし、その後の5月から冷気が続いて未月の土用でも綿入りのどてらが必要だったくらいの冷夏になったそうです。冷夏の原因は、その直前にグリーンランドなどあちこちで噴火したため、火山ガスと火山灰により日光が遮られたためです。この時は世界的な「ミニ氷河期」となりました。逆に言えば、噴火が無かったら、温暖な時期が今の様に続いたでしょう。
それから約60年経った1840~1850年も温暖であり、特に1853年には7月平均気温で29℃を記録致しました。この値は、1876年以降における東京気象官署の観測史上最大であった28.5℃(2001年・2004年)を上回ります。また、同年には水戸の気温も東京に匹敵致しました。山形県川西町でも、古日記の天候記録から1853年の7月の平均気温が31.8℃(誤差±1.21℃)と推定されています。日記から復元された気温データには推定誤差が含まれるので注意が必要ですが、少なくとも1850年代前半が現在に匹敵するほど温暖だったことは確かなようです。
「シーボルト日記」には、シーボルトが江戸に滞在していた1861年に「七月と八月、江戸湾と江戸および周辺では高温。ときには木陰でも華氏九四度(摂氏約34.4℃)まで達することがある。たえず、南と南東の風が吹く」と記されています。
要は、これらは気候そのものが持つ自然の周期的現象であると言えます。古日記天候記録から復元した東京の7月の平均気温の時系列データの解析によると、太陽活動周期(21年、10.5年)やエルニーニョ・南方振動(ENSO:6.3年・5.0年・3.2年)、成層圏準2 年周期振動(QBO:2.18 年)の影響が指摘されています。幕末も、このような周期的な気温上昇が影響していた可能性があります。
別の角度で考えると、高温期と冷温期は太陽活動のタイミングで起きる自然現象ともいえます。現在、二酸化炭素(CO2)排出が引き起こす地球温暖化の評価は,「太陽から地球に届くエネルギーの量は,過去100年の間ほとんど変化していない。したがって,太陽活動は地球温暖化にほとんど寄与していない。」という仮定に基づいていますが、現に、数十年単位の TSI(太陽総放射量)の変動傾向は地上気温の変動傾向と同じリズムを刻んでいます。
上記のグラフを見ると分かる通り、高温期は約50~60年の単位で繰り返され、更に大きな波として180年周期で繰り替えされてきているのが分かります。結論としては、再び火山活動が活発となりミニ氷河期が訪れ、再び60年毎の高温期を繰り返し、180年後、また高温期→ミニ氷河期を繰り返すと思われます。奇しくも180年前もグリーンランドが噴火し、2023年にもグリーンランドが噴火しております。これもきっと地球のリズムなのでしょう。
なので現在の高温状態を異常気象だと恐れることはないと思われます。地球の46億年の歴史の中では、N極S極が入れ替わることもありましたし、磁北とて常に一定ではありません。宇宙規模で考えれば大した出来事ではないのでしょうか?
この現象は三元九運の周期と見事にシンクロします。三元九運とは、太陽活動のリズムを刻んだものといえます。
1は始まりを表し、9は終わりを意味します。日本の歴史でも、常に9運で一つの政権や時代が終わり、1運で新しい時代が始まっています。太陽のリズムを基軸に、木星・火星・地球・金星・水星を五行と置き換え、それぞれに陽と陰(昼と夜)に分け、そこに12の星座=十二支を加えた干支歴は、まさに地球を取り巻く宇宙の摂理そのものなのだということが、今回の検証で深く理解できました。