玄空派は、明代に入ったころ、無極子という人物が三元派を開いたことをルーツとします。その後、蒋大鴻へと伝えられ、蒋氏は「地理弁正」という書を残します。この本は難解な文章で書かれており、その解釈の違いが、様々な流派を生む原因となりました。玄空派は100以上の流派があると言われています。
玄空の玄は「時間の流れ」を表し、空は「空間」を表します。八宅派は時間の流れを強く論じませんが、玄空派は時間の流れの吉凶の変化が大きなポイントなります。この時間の推移を元運といいます。玄空飛星派は「三元九運」を用い、玄空六法派は「両元八運」を用います。
玄空飛星は清代の章仲山が開祖で、無錫州と上州の辺りで生まれたことから無常派とも呼ばれます。玄空飛星の特色としては、風水の流派でありながら「易」を用いず「紫白九星」の「飛泊」だけで構成されている点です。ロジックが単純ながら、即効性が高いことから、現在最もポピュラーな流派です。
歴史・・・玄空派は、他の中国の占術から比べると発生時期が極めて遅いという事になります。楊救貧が唐代に三合派を開いてから、中間の記述が多くありません。多分ですが、一子相伝の様な形で継承されてきたことが原因だと思われます。秘術、といえば聞こえがいいですが、奇門遁甲や四柱推命の様に多くの方に研究されないまま、清代まで時が進んでいきます。清代に入ると、玄空派や八宅派がこぞって書籍を刊行し、風水の隆盛を観ます。この時点から考えても、まだ300年程度です。
玄空飛星は、談養吾氏の活躍により広まったとされています。そこからが玄空派のスタートとするならば、まだ100年程度の未開拓・未検証の流派と言わざるを得ません。よって、これが風水の最高の秘術だとか、最高のロジックなどと表現するのは片腹痛いことです。ある意味、効果は高いものの、ロジックくも荒く、玄空飛星だけでは陽宅の風水の処置を終えることができません。
次項の「謎」にも記載していますが、あまりにもロジックが単純すぎるからです。三合派に比べたら1/1000程度の複雑さなのです。なので、この先、我々は「玄空飛星」を「地理弁正」まで遡って検証しなくてはならないのだと思います。
謎・・・現在、我々が伝え知る玄空飛星は、前述した通り、紫白九星を山星・水星と分け、一定の法則に添って飛泊させるだけの極めて単純なロジックです。替卦という少々複雑な方法を含めたとしても、それほど複雑さはありません。最近は、「我々が知りうる玄空飛星は理解が間違っているのでは?」と深い疑問に陥ります。
方位・・・ 他の流派と同じく、二十四山を用います。他の流派と違う点は、
壬、子癸、丑、艮寅、甲、卯乙、辰、巽巳、丙、午丁未、坤申、庚、酉辛、戌、乾亥
という算出パターンに分類されることです。坎震離兌宮は 陽・陰陰、艮巽坤乾宮は陰・陽陽となります。
元運・・・三元九運は干支歴を基準に180年を20年ずつに分けて、1~9運とします。1~3運を上元、4~6運を中元、7~9運を下元といいます。上中下の開始念は必ず甲子年となります。2023年は8運期の最後の年で、2024年2月4日から9運期が始まります。こちらの考えのベースは「紫白九星」です。
一方、両元八運は、180年を八卦の爻の陰陽で各単元の長さを決めます。順番は坎坤震巽乾兌艮離(後天八卦)の順です。坎~巽までが上元、乾~離までが下限となります。この後天八卦を先天位置に置き換えます。 坎の先天位は坤、坤の先天位は巽・・・・、というように順に変化させます。その後、陽の爻は一爻9年、陰の爻は一爻6年として計算します。 坤だと初爻から上爻まで全て陰なので6×3=18年となります。 2017年からは両元八運上では既に九運となっております。離=乾なので 9×3=27年で、2017~2043年までとなります。
挨星盤・・・元運と、建物の座向より、挨星盤が作成されます。このページで作成のロジックは割愛しますが、御覧の皆様には如何に挨星盤を掲載しておきますので、座向より適切な挨星盤を選んでご活用ください。
替卦・・・向を指す糸が、方位の境(亥と壬、壬と子、癸と寅、寅と艮、寅と甲、甲と卯、乙と辰、辰と巽、巳と丙、丙と午、丁と未、未と坤、申と庚、庚と酉、辛と戌、戌と乾、亥と壬)に載ってしまった場合は騎線空亡といって最も大凶となります。線からそれぞれから1.5度ずつの境に入った場合には、替卦という方法を用いることができます。章仲山は事例で替卦を用いています。少し前に活躍した台湾の談養吾氏は替卦を用いなかったそうです。私は、騎線空亡の概念は理解できますが、線の両側1.5度ずつというところが納得がいかないので、使用しておりません。1.5度の線の上に乗ったら、どうなるの?とか考え始めてしまうからです。そこはなしで、1.5度ずつだけ適用は理解が追いつきません。
本来は検証すべきなのでしょうが、替卦を用いると、座と向の九星が同じになることがあったり、座と向が180度太極の所ではないものが入ったりと、風水の原則が崩れてしまうのも、私が使用しない理由の一つです。