中國には180年を一単位とした「元運」という時代の区分があります。玄空派は特にこれを重視します。これには2種類あります。
・三元九運 20年を一元として、1~9を繰り返すものです。
・両元八運 易卦を基に180年を八つに分けたものです。陽卦ーを9、陰卦ー ーを6とし、各卦の構成により元運の期間が決まります
一運 後天坎 先天坤 坤は陽0 陰3ですので 3×6=18年間
二運 後天坤 先天巽 巽は陽2 陰1ですので 9×2+6=24年間
三運 後天震 先天離 離は陽2 陰1ですので 9×2+6=24年間
四運 後天巽 先天兌 兌は陽2 陰1ですので 9×2+6=24年間
五運 なし
六運 後天乾 先天艮 艮は陽1 陰2ですので 9+6×2=21年間
七運 後天兌 先天坎 坎は陽1 陰2ですので 9+6×2=21年間
八運 後天艮 先天震 震は陽1 陰2ですので 9+6×2=21年間
九運 後天離 先天乾 乾は陽3 陰0ですので 9×3=27年間
元運は理論値上、紀元前2276年から始まっており、直近の一運は1864年から始まっています。現在は九運期でですが、これは三元九運であれば2024年から、両元八運であれば2017年か始まっており 三元九運も両元八運も同じく2043年で終わり、2044年から再び一運が始まります。
1~9は単純に紫白九星です。一白から始まり九紫でおわるので紫白九星といいます。また後天離宮は先天乾宮ですので、そこから紫白とも考えられます。
兎にも角にも1は始まりを示し、9は終わりを示唆します。
日本の各時代と元運を重ねてみると、1が始まりで9が終わり、ということを表していることが分かります。
古墳時代が終わり飛鳥時代が始まったのが9運期(592年)
奈良時代が終わり平安京に遷都したのが1運期 (794年)
貴族の時代が終わり武士が台頭したのが1運期 (1160年)
鎌倉時代が終わり室町幕府が出来たのが1運期 (1336年)
戦国時代が始まったのが8運期 (1467年)
江戸時代が終わって明治政府が出来たのが1運期(1868年)
上記を見るとほとんどの政権の始まりや終わりが1運か9運期にあたっているが分かると思います。1運か9運以外で出来た政権としては、鎌倉幕府(1185年・3運)徳川幕府(1601年・5運)。それと現在の日本政府(1945年・5運)の3つのみ。しかし、終わりの時期は江戸幕府・鎌倉幕府とも1ないし9運期となっています。
以上より、今回の9運 ないし 1運期に何かしらの大きな政権交代が起きることを示唆しています。現に2024年甲辰の総選挙では30年ぶりの少数与党となり野党も乱立し、不安定な政治状況が起きております。
九紫は五行火で「戦争・血・学問・文明」と言った象意を持ちます。よって、この時期は過去を振り返っても戦いが多くおきます。これは日本のみならず世界的な出来事です。先の9運期では、日本は政権交代が起き、海外でもアヘン戦争から始まり、フランスやクリミアで戦争、イギリスとフランス連合軍が北京を占領、アメリカでは南北戦争と、現代の社会につながるような大きな侵略や戦いが起きました。
一白は五行水で「暗闇=夜明け、性、学問」と言った象意を持ちます。9運期の戦いの余波は残るものの、先述した通り、新し事が始まる時期です。日本以外にもドイツ帝国やインド帝国がそれぞれ建国されています。
元運とは正神と零神という方位の概念と密接な関係があります。正神とは元運数が示す方位であり、この方位には大きな山(小祖山)の存在が欠かせません。零神とは正神と対冲する宮の方位となり、この方位には水向(大きな川の交わりや海)が必要になります。日本において最も大地の気が高いのは富士山と日本アルプス周辺となります。東京(江戸)から見た場合、富士山などは兌宮(後天7)に位置します。兌の対冲震方位には太平洋が広がり、1984~から日本はバブル期となり、歴史上もっとも好景気となりました。
前の7運期は徳川家斉の時代で文化・文政・化政と文化が最も華やぎました。史書によれば徳川家が最も贅沢をした時期とされており、景気がよかったことが伺えます。その前の7運も江戸時代で寛永時代でした。この時の将軍は家光で寛永通宝が鋳造され、利根川などの治水事業が行われていることからも、政府に力があったことが分かります。
西日本では富士山の位置が江戸と真逆になりますので、3運の時代に富士山が正神方位になります。最後に京都に政府があった時代は室町時代で、3運期は将軍足利義満の時代で日明貿易の開始や国内支配の強化などによって、大きく発展しました 。また南北朝を統一するなど幕府に力があった頃です。正神が逆転する7運期では1443年に将軍が一旦空位になった後、義正が将軍になった時期です。義勝の悪性の影響から財政の悪い時期の将軍でありながら財政再建への意欲が乏しく放漫財政を続けてたと史書にありますので、相当景気が悪かったのでしょう。京都の西には海や大きな川の交差がないのも影響したと思われます。
5は五黄で、五行は土、「権力・支配・病気・腐敗・死」という象意があり、方位は中央です。日本史上、5運でできた政権は豊臣政権、同時期に徳川幕府、そして今の日本政府です。江戸時代では田沼時代が当たりますが、良い所と悪い所が両極端に存在する、そんな時代です。直近の5運は戦後の復興で日本全体で貧困でありました。
昨今、「闇バイトによる集団強盗」が多発しておりますが、江戸時代にも同様の事が多発しておりました。特に8運期の天保(1830~)9運・1運期の慶応(~1868)に起こりました。打ちこわしは、領主権力に向けられるものではなく、一揆に同意しない村役人や領主と結託した者、高利の金融で百姓をとりつぶしたり買占めで物価をつり上げた者などに向けられました。対象が違うものの、お金のある所に襲撃しているのが同じく9運期に起こっているのは偶然とは思えません。
本年の11月、ホロスコープ上で、冥王星が水瓶座に入ったそうです。冥王星は元運と同じタイミングで20年に一度星座を移っていきます。元運と違うのは元運が9ないし8の単位であるのに対し、ホロスコープは12の単位で移動することです。上記の表にも記しておりますが、元運の単位でみると、9運期と水瓶座+冥王星となったのは720年前となります。この時期は鎌倉幕府が倒幕され室町幕府ができた時期と重なります。
冥王星は目視できない星で、望遠鏡が発達する1930年まで西洋占星術では用いられていなかった惑星ですが、中国の元運の切り替わりのタイミングと同じと言うのは、大変に興味がそそられ想像が止まらない一致であります。
私は西洋占星術には精通しておりませんので、水瓶座と冥王星の関係は熟知しておりませんが、今回の9運と1運期の切り替わりでは、首都が東京から京都に戻るくらいのセンセーショナルな出来事が起きるのでしょう。
我々の忘れられない記憶として、直近の4運では人類史上最悪の出来事「第2次世界大戦」が勃発しました。先の4運期日本では大ごとは起きておりませんが、イギリスとフランスの戦争やイギリスの産業革命が起きました。その前の4運では室町幕府が滅亡、本能寺の変が起き、その後豊臣政権による朝鮮出兵、世界でもスペインとイングランドによるアルマダ海戦が起きております。
このほかでも各元運では、同様の事が繰り返し起こっております。要は「歴史は繰り返す」ということです。ただ、180年前と違うのは、文明のレベルや人工、情報通信の速度など、比べることが出来ないほどの発展したインフラがあるということです。これらの発展を加味しながら、どのようなことが起きるのか予測していく必要性があると思います。