四柱推命において、重要なポイントは、① 日干(日辰) ② 月支(月建・月令・月将) ③ 時支(時建)の順です。日干は本人を表します。つまり、日辰が命式の中心です。月建が重要であるのは、季節を持ち、命式の格局を決めるからです。時支は命式に置いて、最も卜占的な意味をもち、日辰に最も影響する支です。月建、時建は、いつでも同じ季節や時間帯を保持している為、年支や、日支にくらべて命式に与える力量は思っている以上に強いです。その重要な時建ですが、現在私以外の推命家は、24時間を2時間ずつにブツ切りした時刻表を用いていますが、私は、星の運行を基準に作られた占術を使うにあたって間違いであると思っています。よって、時間(自然時)に関して以下に論じます。
1.干支歴の歴史
干支暦は理論値上、紀元前2276年前の甲子年 甲子月 甲子日 甲子時から始まったことになっています。エビデンスとしては紀元前1600年位まえの殷(商)王朝の時代の石板に 甲子年 甲子月・・・という記載が残っていることから、その頃には間違いなく存在していました。
2.天干 甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
天干は十干、すなわち五行(木火土金水)を兄(え)弟(と)【※兄は陽、弟は陰】に分けたものです。四柱推命での天干は絶えず動き命式に息吹を与えます。
3.地支 子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥
地支は十二支の事です。元々は動物の意味はありませんでしたが、いつの頃か、王充(おういつ)という人物が十二支に鼠牛虎兎竜蛇馬羊猿鶏犬猪を充てたとされています。地支、特に月支、時支は常に同じ季節と時間帯を占有し命式上ではとても強い力量を持ちます。年支と日支は動きがあります。
4.時刻の決め方
干支暦ができた頃の中国では、まだ時計はなかったと思われますので、ほぼ間違いなく 日の出(卯時)と日の入(酉時)と南中時(正午)を軸に時を刻んでいたと思われます。
卯時・・・日の出前の空が明るくなり朝焼けが消えたあたりから卯時となります。凡そ日の出の30分位前となります。
正午・・・太陽が最も高い極陽の時間、すなわち南中時が午時の中心となります。正午の前を午前、正午の後を午後というのはこのためです。午時は正午を中心に一刻を振り分けて考えます。
酉時・・・ここから夜です。古代の中国人は空が夕焼けになったところで、一日の仕事の終わりとしていたそうです。なので、酉時は夕焼けになった時が始まりです。凡そ日の入の30分前位です。
★戌時・・・日本では、空が紫色、すなわち逢魔ケ時になった時を「暮れ六つ=酉時」と言ったようですが、古い中国語では戌時を「黄昏」と表記していることから、逢魔ケ時からが「戌時」の始まりと推察できます。
★寅時・・・空が明るくなり始めが卯時かとも考えましたが、古い中国では寅時を「黎明」と表記していることから、空が紫色に代わって朝焼けが残っている間は寅時であることが推察できます。卯時は人の顔や文字が識別できる明るさになった時からです。
★子時・・・子時の中心時は南中時のジャスト12時間後で極陰です。一日の始まりの刻なので、正午ではなく正子、子前、子後でもよさそうなものですが、その様な記載は見当たりません。地球の真裏にある太陽の位置を測ることができなかったので、南中時を一日のピークとして時間を測っていたことが推察されます。
以上より、正午を中心に卯時から申時の終わりまでを昼、南中時の12時間後を子時の中心として、酉時から寅時の終わりまでを夜として時を刻んでいたことが推察されます。
5.太陽と公転と地域の時間差
今では各国で基準時が定められていますので、公転に関係なく時間は正確に刻まれていますが、時計が出来るまでは、4で論じた通り太陽の位置を基準に場所ごとに時間を決めていました。逆言うと太陽の動きこそが時計そのものですので命式上の生まれた時間はお日様の位置で決めることが適切であると考えます。
インターネット上では、実しやかに経度差 15度=60分、つまり経度1度辺り4分違うとし、東京(139.6)と大阪(135.5)は4度違うので、16~18前に東京は早く刻がくるとし、この論法でメルカトル図法の地図の理論だけで、東北や北海道、および日本海側、沖縄地方までも1度4分で計算した時刻が見受けられますが、実際の太陽の動きはそんなに単純ではなく季節によって地域ごとの日の動きは違います。
まず、1度4分で単純計算できるのは、関東地方から四国の太平洋沿岸辺りだけです。 東北や北海道は地図を見ればわかる通り、インターネットで言われているほど東京周辺と東経はそれほど差がありません。札幌などはほぼ東京と同じです。東北や北海道地方の太陽の動きで重要なので、経度よりも緯度ということになります。北にある地方、極端に言えば北欧などは、夏至の頃は日が沈まぬ白夜となり、当時の頃は日が昇らぬ極夜となります。これは日本の北海道地方でも北欧までの極端な明暗はありませんが、同様の現象がおきます。知床路上の歌詞にもあるように夏は白夜になります。冬場に極夜にはなりませんが、公転と自転を考えれば、冬場の東北・北海道は東京よりも日の出が遅くなるか、ほぼ同じになります。これは太陽が夏場の時期は北東から昇るのに対して、冬場は35度程度南下して南東方向から昇ってくるからです。
太陽の動きも夏場は羅臼辺りの北東から昇り、長崎県あたりの西の方へと長いルートを通っていきます。冬場は茨城県あたりの南東から日が昇り沖縄あたりの南西の方へと短いルートをとります。
要は、夏場は北海道から明るくなり、長崎県が最も遅い日の入となります。冬場は北海道は東京より日の出が遅くなり、日本海側は太陽が低いルートを通り早く日没となり、沖縄が最も遅い日の入となります。
6.時刻差
命式を作成する際、生まれた時間と場所を聞くのはこのためですが、1~5で論じてきた通り、現代人の使っている24時間を2時間ごとにブツ切りにし、太陽の動きも考えず経度1度4分と計算したものでは、推命の本質と「妙」と「奇」には辿り着きません。推命の基本が自然時であるならば、生まれた場所と時間を聞いたならば、その地域の太陽の位置を考えた時間表を用いるべきだと思います。
よって、札幌、東京、名古屋、大阪、松江、福岡の6都市の二十四節気毎の時間表を作成しましたので、私意見に同感できた方は是非この時間表を使用して頂きまして、一緒に検証をして頂ければ幸いに存じます。